中之条ビエンナーレ2025フィリピン人アーティストたちの活躍
2025年10月21日中之条-2025年9月12日から10月13日まで群馬県中之条で開催された、芸術表現を通じて同町の文化遺産を称える、第10回中之条ビエンナーレ2025にて、5名のフィリピン人アーティストが創造性とクラフトマンシップを披露しました。
参加したフィリピン人アーティストたちは、人間の感情、記憶、精神性の複雑さを探求する印象的なインスタレーションや作品を通じて、ビエンナーレの本質を捉えました。「光の山」をテーマに据えた本ビエンナーレは、中之条町が静かな養蚕の町から、多様な分野のアーティストが集う活気ある現代の拠点へと変貌を遂げた姿を映し出しました。
「フィリピン人アーティストが中之条ビエンナーレに参加したことを大変誇りに思います。彼らはフィリピンの文化と独創性を披露しただけでなく、フィリピンと日本のコミュニティに恩恵をもたらす創造的空間の成長に大きく貢献しました」と、ミレーン・ガルシア=アルバノ駐日フィリピン大使はアーティストを称賛しました。
在日フィリピン大使館の職員が、フィリピン人アーティストの作品が展示されている中之条ビエンナーレの50会場の一つを訪問し、山重徹夫総合ディレクターから温かく迎えられました。ビエンナーレを訪れた日本人観客は彼らの作品に感嘆し、中にはフィリピン文化の要素を初めて目の当たりにする人もいました。
「アートの力を通じて、町に新しい光を灯し、次の世代へとつながる希望と創造の風景を描いていきたい」と山重氏は語り、中之条町の芸術コミュニティの活性化におけるビエンナーレの意義を説明しました。
ビエンナーレで注目されたフィリピン人アーティストたち:
- マーヴィー・ブエブロ氏:日本で働くフィリピン人移住労働者たちの沈黙の思考と、孤独と帰属意識という共通の体験を捉えたインタラクティブ・インスタレーションと映像作品を展示
- サム・オセーニョ氏:マニラと中之条町の高校生との共同制作は、風の流れを模倣し、そこに幼い頃の記憶、夢、そして希望が絡み合っている
- ノエル・エル・ファロル氏:廃棄物をアップサイクルして祈りと願いを捧げる霊的な空間へと再生させることで、フィリピンのお守り(アンティン・アンティン)を紹介
- レクシギウス・サンチェス・カリップ:人間の体験に深く迫る静かな出会いを題材にした、観る者に考えさせる映像作品を手掛ける
- ジョセフィン・トゥラルバ氏:染色されたピニャシルク生地を鮮やかなタペストリーへと変貌させ、フィリピンの海洋遺産をモチーフにした刺繍を施した。海洋安全保障の重要性を強調するだけでなく、同国のピニャの伝統と中之条町の養蚕のルーツを結びつける役割を果たした。
中之条ビエンナーレには計147名のアーティストが参加し、空き家や廃校などの場所がインタラクティブな展示空間に生まれ変わりました。また、2025年に国際芸術交流プログラムに参加した中之条高校とセブ州の生徒による共同制作作品も展示されました。